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モノづくりの未来へ<br>府立工業生が支援学校に特製レーキを納品<br>生産現場の「金の卵」<br>着実に成長し、未来を担う

モノづくりの未来へ
府立工業生が支援学校に特製レーキを納品
生産現場の「金の卵」
着実に成長し、未来を担う

投稿日時:2021年12月28日(火)

 少子高齢化が急速に進む現代社会において、モノづくりの現場での人手不足は大きな問題となっている。そんな中で進むAI技術などで、生産現場は様変わりする途上にあるが、その原点は人の手仕事に他ならない。当地でもモノづくりの将来を担う若者たちが、その技術を未来に生かそうと、日々奮闘している。

 堀の舞鶴支援学校で12月21日、同校から依頼を受けた府立工業の生徒たちが、校庭の整備に使用する特製の「グラウンドレーキ」を納品した。レーキは鉄製で、40キロの重量がある。ワイヤーでつないだ軽トラックが引っ張ることで、グラウンドの土を掘り起こして大きなブラシでならす仕組み。
 同校には、小学部から高等部まで、165人の児童生徒が通っている。贈呈式で山本直之校長(57)は、「グラウンドには、遊具も置いてあればトラックもあり、ソフトボール、サッカーと使い方もいろいろ。また山に囲まれており、油断すると様々な植物が生えてくる。常にグラウンドのコンディションを保つのが困難でもあり悩みの種だった」と製作依頼した背景について話し、「今回、こういう機能があったらいいなという希望にしっかりと答えていただいた。また、作ってくれた人たちの顔を見て、納品してもらえるのがありがたい」と感謝を述べた。
 同校の生徒を代表して篠塚慎さんは、「サッカーの時、整備不良だとぬかるみができて困っていた。しっかりと活用して、サッカーなどを思いっきりやりたい」と笑顔で話した。
【よろこばれる喜び】
 レーキを製作したのは、府立工業で溶接作業のエキスパートチームとして学ぶ「新生チームブルー」の6人。チームは平成23年から活動を継続。チーム名は、実習服が青色であることから名づけられたという。製作物を通じて地域貢献することを目指しており、昨年は福知山球場のBSOボードを直した。
 指導にあたる同校機械テクノロジー科の堀江祥彰教諭(27)は、「教師はあくまでアドバイザー。壁にぶつかることもあったが、しっかりとやり遂げてくれた」と生徒たちの頑張りをたたえた。
 チームの一員である城北中出身の二人、和田和志さん(3年)と真下大雅さん(同)は、「思い通りにいかないこともあったが、完成させることかできて達成感でいっぱい」と喜んだ。
 来春からは、ともに地元でモノづくりの現場に就職することが決まっている二人。「(モノづくりは)手を動かしてつくり出すことに魅力を感じる。作ったものを通して、誰かに喜んでもらえることにやりがいを感じる」と話した。
 支援学校の山本校長は「本校の生徒たちも実習販売などで、お客さんのこと考えて製品を作っている。こうした交流が、お互いに今後の意欲向上につながれば言うことない」と満足感を漂わせていた。
 試行錯誤の末に生まれたグラウンドレーキ。グラウンドの土を耕し整地するのはもちろん、当地のモノづくりの明日を耕していくに違いない。

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