ピンチをチャンスに~コロナショックに立ち向かう地元企業

ピンチをチャンスに~コロナショックに立ち向かう地元企業

投稿日時:2020年6月26日

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フィーロ社の子会社化に踏み切ったキクヅルの久下社長(右)

 貸衣装業のキクヅル(魚屋、久下幸典社長)がこのほど、ウェディングドレスメーカーのフィーロ(京都市)をグループ会社化し、ドレスの卸販売に参入すると発表した。多くの会社がコロナ不況に喘ぐ経済状況の中、業容拡大へと舵を切った同社の考えを聞いた。



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 キクヅルの創業は昭和52年。「鶴のように幾久しく仲睦まじく」との思いを社名に込めて、長年に渡って多くの夫婦の門出を見届けてきた。
 現社長の幸典さん(46)に代替わりした後は、インターネットに活路を見出し、卒業式で着用する袴のレンタルに特化した「ハカマレンタルドットコム」や、高級留袖に焦点を絞ったサイトの運営など、常に業界を先導する斬新な取り組みを展開してきた。
 同社が順調に業容を拡大する中で訪れたコロナ禍は、大きなつめ跡を残した。3月の卒業式シーズンは自粛で吹き飛び、袴の予約はキャンセルが相次いだ。また、結婚式での写真撮影の需要もほぼ消滅と売り上げが激減。かつてない苦境に立たされた同社だが、久下さんが弱音を吐くことはなかった。「いつ収束するか分からない不安、変わりゆく結婚式のスタイル、そして大不況の足音。ドレスメーカーに待ち受ける過酷な状況は認識しているが、立ち止まったらそこで終わり。コロナの影響によるマイナスがあったからこそ、このようなコラボが実現したとプラスに捉え、挑戦していきたい」と久下さんは前を向いた。



【前代未聞の苦境に 立ち向かう地元企業】



 業種を問わず、コロナ禍で停滞した経済で苦境に立つ会社が増えている。市内では、年初に明らかになったJMUの商船建造からの撤退や、客船の相次ぐ寄港中止など、多くのマイナス要因を抱えている。
 そんな中、守勢に徹することなく攻めに転じる企業も増えている。
 浜に本社を置くウッディーハウス(志摩幹一郎社長)は、京阪神で出店する4店舗がすべて休業になるなど大きな影響を受けたが、自粛期間中に実店舗とwebの在庫管理一元化にも着手するなど業務管理を一新。志摩社長は、「コロナが終息した後は、飛躍的に在庫効率の良い会社に生まれ変わる」と自信をのぞかせる。
 「コロナショックは、地方が脚光を浴びる転換点になるかもしれない」と久下さんは話す。経済活動が停滞したのは全国一様だが、次に訪れるポストコロナの社会では環境に適応できる会社だけが生き残ることが出来る。これは、国全体が超少子高齢化社会の道を突き進む中での、地方自治体そのものに当てはまる命題だ。
 多々見市政が長らく掲げてきた「交流人口300万人 経済人口10万人」の合言葉は、コロナの時代には絵空事となる公算が高い。
 時代に逆行した理想を追い求めることなく、不況に負けず逆風の大海に漕ぎ出す企業を、現実的に支援できる政治を期待したい。