はじまりの時を目指して~くらし再生を願う黄色いハンカチ

はじまりの時を目指して~くらし再生を願う黄色いハンカチ

投稿日時:2020年5月5日

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オブジェを彩る38枚の黄色いハンカチ
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「ハンカチを掲げよう」と呼びかける高井さんと田中さん(左から)

 市役所前に設置されている卵型のオブジェ「始まりの時」に、38枚の黄色いハンカチが掲げられている。設置した舞鶴在住の作家グループ「アノ・ソノ・アート」の高井晴美さん(55)らに話を聞いた。



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 オブジェは、2011年に開催された「第26回国民文化祭・京都2011」に合わせて、同グループが設置した。高さ5メートル、幅4メートルの卵型の形をし、周囲に陶板が張り付けられている。
 陶板約1100枚のうち、およそ900枚は市内の小学校に通う4年生の児童(2011年当時)が作った。
 児童たちを指導したのは、高井さんら市内の陶芸家3人。全20校の小学校を手分けして回った。児童らは粘土を15センチ四方の板に伸ばし、竹ベラで思い思いのデザインを施した。
 そうして完成したオブジェ「始まりの時」には、子どもたちのエネルギーが作品に結集している。
 新型コロナウイルスの影響で社会に暗い雰囲気が立ち込める中、何とか市民を元気づけたいと考えた時、高井さんらの頭に浮かんだのが黄色いハンカチによるオブジェの装飾だった。



【市民一丸で 立ち向かう】



「幸福の黄色いハンカチ」は、我が国の映画史に燦然と輝く不朽の名作だ。この作品になぞらえ、オブジェの周辺に黄色いハンカチを掲げようとの考えが浮かび、高井さんらは直ちに動いた。
 市内で喫茶店を営む田中雅理まさみち(62)さんは、木工作家としてオブジェの製作に携わった一人。
 今回用意したハンカチは、田中さんが廃棄予定のおしぼりを塗料で染め上げて完成したものだ。6.5メートルの竹竿から伸びた2本のロープにくくりつけられて、黄色いハンカチは4月の薫風を受けたなびいた。
 高井さんは「今は、長引く外出自粛で、それぞれの心に不安や閉塞感が漂っています。だけど、希望を持って日々を過ごせば、いずれ日常は戻ってきます。この困難をみんなで共に乗り越えようという意思を、各家庭に黄色いハンカチを掲げることで共に示してもらえればと願います」と話した。
 オブジェが完成し披露されたのは、奇しくも東日本大震災を受けた重苦しい雰囲気に日本全体が包まれていた時だった。その時も、卵型オブジェ「始まりの時」は、新たに立ち上がる人々の暮らし再生を、ひっそりと応援し続けてきた。
 今回の国難は、姿の見えないウイルスとの闘いだ。
 いま日々の生活は、「日常を取り戻す」ための忍耐が求められるものとなっているが、黄色いハンカチとともに、決意を示し連帯を広げてみてはいかがだろうか。