言葉による鑑賞学習会~視覚障害者に資料館の楽しさを

言葉による鑑賞学習会~視覚障害者に資料館の楽しさを

投稿日時:2019年12月3日

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収蔵品に触れ、言葉による鑑賞を楽しむ参加者たち

 視覚障害者が収蔵品に触れながら会話を通して特徴や様子を聞く「視覚障害者との収蔵品鑑賞学習会」がこのほど、田辺城資料館=南田辺=で開かれた。参加した視覚障害者からの積極的な質問に、ガイド担当者らは工夫した表現でわかりやすく解説し、お互いに理解を深めていた。



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 同学習会は、市地域づくり支援課が「言葉による鑑賞学習会」として取り組んでいるもので、障害者が学びの場を持ち積極的に社会に参加すること、健常者が正しく理解し関わりを深めることを目的としている。この日は市視覚障害者協会員8人をはじめ田辺城ガイドの会、ボランティアなど合わせて24人が参加した。
 学習会では、普段の会話と同じようにコミュニケーションを図ることで気軽に鑑賞し、それぞれの感じ方の違いも楽しむために①静かに鑑賞「しない」、②見える人は一方的な説明を「しない」、③見えない人、見えにくい人は聞き役に専念「しない」、④全てを分かり合おうと「しない」という4つの「しない」ルールが決められている。
 はじめに行われた「鑑賞の仕方」研修では、テーブルの上に歌舞伎「石川五右衛門」の釜ゆでのシーンを描いた浮世絵が置かれ、参加者らは、額縁を指先で辿りながら大きさを感じとっていた。質問は次第に詳細な部分におよび「五右衛門の表情や様子」「周囲の景色」など想像を膨らませ熱心に聞いた。ガイドの会の武田尚孝さんが「五右衛門は悔しそうな表情をしている」「周りには見張り役の役人が立っている」ことを随所に笑いを交えながら表現を工夫しこと細かに解説をすると、質問を投げかけた参加者は大きくうなずき納得した様子を見せていた。
 4つのグループに分かれて刀や火縄銃、槍などに触れ、木製の部分は温かく鉄の部分は冷たいと材質の違いを感じ取り「この鉄砲はどうやって構えるのか」との問いにガイド担当者らは手を添えながら丁寧に説明をしていた。
 生涯学習支援係の佐藤真史係長は「障害のある方からのたくさんの質問に答えることで、ガイドの方のスキルや対応力向上にもつながると思います」と期待を込めた。
 館内鑑賞をした際にも会話が途切れることはなく興味深く質問をする参加者と、聞き取りやすい言葉でゆっくりと答えるガイド担当者らは今回の学習会を楽しんでいる様子だった。参加者からは「ガイドの方に一生懸命説明してもらい大変よい学習ができた」「会話を通してたくさんの知識を吸収することができて良かった」と満足した声が聞かれた。
 ガイド担当者らは「これまでにない経験ができて楽しかった」「今日は時間が足りなかった。もっとゆっくり案内したい」と笑顔を見せ、参加者とともに充実した時間を過ごせたことがうかがわれた。