バイオマス発電の是非を問う~喜多地区で建設計画中のパーム油発電所

バイオマス発電の是非を問う~喜多地区で建設計画中のパーム油発電所

投稿日時:2019年9月24日

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セミナーでは発表者に対して多くの質問が飛び交った

 喜多地区で建設計画が進むパーム油によるバイオマス発電所に対して、地元住民を中心に懸念が広がっている。13日には西公民館で大阪市の環境保護活動団体らが主催するセミナーが開かれ、およそ70人の市民らが参加した。



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 計画は喜多と舞鶴港喜多ふ頭の府有地計約3.8ヘクタールに、バイオマス発電所を建設するというもの。再生エネルギー分野における世界最先端企業であるAmp社の日本法人が出資し設立された「舞鶴グリーンイニシアティブス合同会社(MGI)」が事業主体となり運営。発電所の最大出力は66メガワットで、パーム油によるバイオ発電所で国内最大規模となる。年間8600時間の稼働で生まれた電力は関電に売電するといい、一般家庭約12万世帯の電力に相当する規模になる。2020年には着工し、2022年11月からの商用運転を目指すとしている。
 市内では平地区でも関西最大級の木質バイオマス発電所の建設が進んでおり、次世代の再生可能エネルギー集積地として、注目を集めている。



【環境保護の観点から】



 セミナーは熱帯雨林の環境保護活動などに取り組む「ウータン・森と生活を考える会(大阪市)」などが主催。地球にやさしいエネルギーだと喧伝されるパーム油のバイオマス発電について、燃料に使用されるパーム油の生産自体が熱帯雨林の環境破壊につながっていると参加者に伝えた。
 植物油脂の名で国内の食卓を席巻しているパーム油の一人当たりの消費量は年間5キロにもなり、国内の植物油消費のうち24%を占める。
 東南アジアでは、「金になる」パーム油の生産量を増やすため各地で森林がアブラヤシ農園に転換され、毎年50万ヘクタールの熱帯林が減少しているという。この面積は東京都の2.5倍に相当する。
 こうした熱帯林の減少が地球規模での気候変動の一因となり、また農園開発によりオランウータンが行き場を失うなど、生物多様性が喪失の危機にさらされているという。
 こうした背景を受け、世界自然保護基金(WWF)ジャパンは7月、計画の見直しと燃料の持続可能性基準の策定を求める要望書を国や府、市などに提出した。



【公害の懸念】



 「悪臭と騒音で引っ越しを検討している住民もいる」と、福知山市で稼働しているパーム油バイオマス発電所の近隣住民である三谷義臣さんは演壇から訴えた。同市土師新町で2017年から稼働する発電所を運営する民間事業者は、「いずれも基準値を下回っている」とし、根本的な改善を求める近隣住民らとの対立は深まっている。
三谷さんの発表を受け、「まだ計画段階なのだから徹底的に見直しを求めるべきだ」と主催者側が訴えると、、「反対活動を実行する」と気勢を上げる参加者も現れ、会場は異様な熱気に包まれた。
 喜多地区のバイオ発電所は福知山の40倍の規模になるというが、建設計画では高さ10mの防音壁と高さ17mの煙突を設置し、騒音対策・防臭対策に万全を期すとしている。
 発電所が稼働すれば、雇用や税収の増加が見込まれる。人口減少社会の地方都市にとって魅力的な側面は否定できないが、運営事業者や行政の難しい舵取りを迫られている。