北京五輪女子重量挙げ 6位入賞へ繰上げ決定

北京五輪女子重量挙げ 6位入賞へ繰上げ決定

投稿日時:2019年10月1日

RIKA-1-e1570154826227
多方面で活躍する齋藤さん
814bd1bed29c92636fc75c274248915b-e1570154840204
新たに届けられた6位入賞の賞状

 北京オリンピック(2008年開催)の女子重量挙げ69㎏級で8位入賞を果たした齋藤里香さん(市内京口出身)の順位が、上位選手のドーピング違反のため6位に繰り上げとなり、このほどIOC(国際オリンピック委員会)より新たな賞状が届けられた。



*     *     *     *



 齋藤里香さん(36)は、城南中陸上部に所属していたある日トレーニングで重量挙げに出会い、類まれな才能がその時見いだされた。 
同競技名門の加悦谷高に進んでからは、飛躍的な成長を遂げた。齋藤さんは高校記録次々とを塗り替え、立命館大へと進んだ。
 北京オリンピックへの出場は25歳の時だった。競技者として脂が乗り切っていた時期とは言え、出場はこの上なく狭き門で、当時あった7階級のうち日本の出場枠は3枠。その上「世界で勝てる」可能性が高いのは軽量級と、それまでの実績が物語っていた。齋藤さんが挑む69㎏級は、とりわけ世界の壁が分厚い階級だと目されていた。
 それだけに出場が決まった時は、「本当に私でいいのか」と心が揺れたという。だが、腹をくくって臨んだ北京オリンピックで、齋藤さんは見事日本記録を更新し、8位入賞を果たした。
 それは、出られなかった仲間たちの想いを背負って打ち立てた金字塔だった。



【スポーツの楽しさを】



 「率直に言って、悲しさとやるせなさしかなかった」と齋藤さんは言う。
 その階級では英雄的な存在だった選手の失格に、自らの順位が繰り上げになる喜びはなかった。
 立命館大では、卒業論文のテーマに「アンチドーピング」を選んだ。筋力が競技力向上に大きく影響する重量挙げには、常にドーピングの影が付きまとう。「楽しさよりも勝利が至上命題になっていくことは、スポーツの存在意義を殺すことに他ならない」と齋藤さん。
 「私はスポーツに育ててもらった。そのスポーツを守りたいと切実に思う」
 現在、斉藤さんはJADA(日本アンチドーピング機構)のアスリート委員を務める。選ばれた15人の委員の中には、水泳の松田丈志さんやハンマー投げの室伏広治さん、スピードスケートの小平奈緒さんら著名なスポーツ選手らが名を連ねる。また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のアスリート委員も兼務し、多忙な毎日を送りながら、今年の4月からは早稲田大大学院でスポーツ倫理学・教育学を学び始めた。
 「とにかくスポーツを楽しんでほしい。勝つこと、上手になることより、まず楽しむことが大切だと伝えていきたい」と齋藤さん。
 オリンピックイヤーを翌年に控えた今、伝道師としての齋藤さんの今後にも期待をしたい。