危機への備え  万全に~市消防本部 新たな装備の訓練重ねる

危機への備え 万全に~市消防本部 新たな装備の訓練重ねる

投稿日時:2020年7月7日

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クレーンを使っての着水作業
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車いすに乗ったままでの乗船が可能な高機能救命ボート

 西日本を中心に河川の氾濫や洪水、土砂災害などの甚大な被害をもたらした「平成30年7月豪雨」発生から、きょうで2年になる。市消防本部では、降水量が多くなる季節を前に、今年新たに導入された高機能救命ボート操船訓練を実施するなど、有事の出動要請に備え緊張感を高めている。



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 7月豪雨発生時の本市でも、72時間雨量が観測史上最大の439ミリを記録した。自宅の土砂の除去作業中に行方不明になった男性が舞鶴湾で遺体で見つかるなど、一人が死亡。集中豪雨により由良川流域では、雨水などの内水を由良川へ流せずに浸水被害が発生。道路の冠水で加佐地域全域(1828世帯)が一時孤立した。
 各消防署と消防団が連携した活動では、河川の水位調査や道路パトロールをはじめ、自力での避難が困難な高齢者を避難所へ搬送、自宅で逃げ遅れた住民を手漕ぎボートで救助するなど、多くの市民を救った。
 しかし台風18号(平成25年)台風21号(平成29年)7月豪雨(平成30年)と度重なる大規模災害発生時に、消防活動のなかで課題となったのが救助や患者搬送などの対策だった。これを受けて市は、消防活動の能力向上を目指し、総務省消防庁へ資機材無償貸与を要望。今年新たな装備の配置が決まった。
 導入されたのは、水陸両用車〔8輪バギー〕(全長約3m・幅約1.5m・高さ約2m・重さ640キロ・乗車定員=陸上6人/水上4人)を搭載した津波・大規模風水害対策車(全長9m・幅約2.5m・高さ約3.5m・重さ約10トン・乗車定員3人)▼ゴム製ボート(全長約3.8m・幅約1.6m・重さ約78キロ・乗船定員6人)▼FRP製ボート(全長約3.4m・幅1.6m・深さ0.5m・重さ80キロ・乗船定員5人)▼高機能救命ボート(船首パネルが開閉可能・乗船定員20人)。
 特徴としては、泥ねい地で高い走破性を誇る水陸両用バギー。2馬力の船外機を付属したFRPボートは、組み立て式のためコンパクトに収納が可能。20馬力の船外機が取り付けられたゴムボートは、風水害時での流れの強い環境下での活動も可能。ライフジャケットや担架といった冠水地域での人命救助に特化した資機材が多数積載されている。
 また高機能救命ボートは30馬力の船外機を備え、がれき等がある浸水域でも活動できる。船首パネルが開閉する構造となっており、車いすに乗ったままでの乗船が可能。これまで課題となっていた、体の不自由な人らの救助の際に活躍が期待される。
 消防本部救急救助課員らは6月に入り、3交替勤務者それぞれに各種ボート操船訓練を実施。舞鶴漕艇センター北側岸壁および舞鶴湾で、3回に分けて行った。ボートの組立てや船外機の取付け、小型船舶操縦免許(2級)有資格者の実動訓練などを通して、活動能力や技術向上を目指した。
 現場への急行が求められる災害発生時は、一刻の猶予も許されない。この日も限られた時間の中で参加者らは、救助手順の確認や救助されボートに乗る側としての問題点や改善点の確認にいそしんだ。
 消防本部では、台風や豪雨など大規模な被害が予測される場合には、事前に職員を招集して対応できる人員を増強しているという。
 豪雨災害に対する心構えについて消防本部警防課長の野里常徹さんは、「常に正確な情報を把握して災害に対する準備をしておくこと、自分や家族の命を守る『LIFE FIRST(ライフファースト)』の精神が大切」と話し「“自分は大丈夫だ”という慢心は捨て、暗くなってからや雨が強くなってからの避難は危険を伴うので絶対にやめてほしい。家族、友達、ご近所の方とともに早めの避難を心掛けて下さい」と呼び掛けている。
 市民にとって訓練を重ねた消防隊員らの存在は心強い。もしもの時には119番。しかしまずは、一人ひとりひとりの心がけが何より大切となってくる。近所に助けが必要な人はいないか、目を向けられる心の余裕も持ちたいものだ。