パーム油発電所 事業推進が困難に

パーム油発電所 事業推進が困難に

投稿日時:2020年6月16日

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データを示し説明する大西委員長
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市の対応を説明する堤副市長
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公害対策について説明する日立造船の担当者
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公開協議を熱心に聞く参加者ら

 喜多の舞鶴21ビルで13日、同地区で計画中のパーム油バイオマス発電所建設について、地元住民と、事業者、市の3者による公開協議が開かれた。会議の中で市は、6月中に新たなオーナー会社が見つからない場合、計画の事業主体である「舞鶴グリーン・イニシアティブス合同会社(MGI)」の清算手続きに入ると、現オーナー会社のアンプ社から連絡があったと発表した。MGIは再生可能エネルギー固定価格買取制度の認定を受けており、同社の清算に伴って認定は消失する。これにより、事業の推進が困難な状況であることが鮮明になった。



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 計画は喜多と舞鶴港喜多ふ頭の府有地計約3.8ヘクタールに、バイオマス発電所を建設するというもの。再生エネルギー分野における世界最先端企業であるアンプ社の日本法人が出資し設立されたMGIが事業主体となり運営する予定だった。
 発電所の最大出力は66メガワットで、パーム油によるバイオマス発電所で国内最大規模となる。年間8600時間の稼働で生まれた電力は関電に売電するといい、一般家庭約12万世帯の電力に相当する規模になる。
 公開協議にMGIからの出席はなかったが、日立造船の担当者が懸念されている公害への対策はもとより、改めて同計画が地元経済に及ぼす好影響を「エコ・ポート・タウン構想」として紹介するなど、数字を挙げての丹念な説明が繰り広げられた。
 一方、住民側も緻密な計算に基づいた主張を展開。双方の立場の違いは終始明白で、およそ3時間に渡った協議では合意への糸口は全く見つけられなかった。



【開いた溝 最後まで埋まらず】



 同計画が持ち上がった当初、地元住民と事業者との間に目立った軋轢はなかった。日立造船の担当者は「2018年7月に開催した最初の説明会では、大きな反対もなく概ね賛同いただいた」と振り返ったが、情勢が大きく変わり始めたのは昨年9月だった。
 熱帯雨林の環境保護活動などに取り組む「ウータン・森と生活を考える会(大阪市)」などが主催するセミナーが市内で開催された。セミナーでは、発電所の燃料に使用されるパーム油の生産自体が熱帯雨林の環境破壊につながっていることや、先行して稼働していた福知山市での公害事例が紹介された。
 セミナー開催以後、地元住民らが組織する「舞鶴西地区の環境を考える会」が発足。地元の喜多自治会環境保全委員会などと連携し、様々な取り組みを展開。4月には「建設反対住民アンケート調査結果」を市長に提出し、「アンケート結果が示す通り、住民のほぼ全員が反対だ」と訴えた。
 一方で市は、MGIのオーナー会社であるアンプ社が撤退を表明した後も、多々見良三市長が事業推進を表明。地元住民らの反対に対しては、「どちらが論理的かをしっかりと理解していただきたい」と発言していた。
 会見での市長発言を伝え聞いた住民側は、公開協議への市長の出席を強く求めたが、市長の姿はなかった。
 会議の冒頭、大西寛治委員長は市長の出席がない理由を質したが、堤茂副市長が「今回は実務者レベルの会合である」と説明するなど歯切れの悪さが際立っていた。



【市長の姿勢に疑問の声も】



 公開協議開催には紆余曲折があった。当初、5月30日に説明会を開催する予定だったが、市が急きょ会議を非公開にすると通告。喜多自治会環境保全委員会はこれに対して、「喜多地区だけでなく市全体に及ぶ問題」とし公開を強く求めたため、開催が延期となっていた。
 この日の公開協議には、計82人が出席。うち20人は一般傍聴者だったが、これには定員を大きく上回る32人が来場し抽選により傍聴者が決定した。
 この問題に対する市民の関心の高さが浮き彫りとなった一方で、市長が姿を見せないことに対して「市の一大事に市長が来ないとはどういうことだ」と憤る参加者の姿もあった。
 「市の発展に必要な施設」との姿勢を一切崩さなかった市長だが、事業推進が事実上困難になった今、求心力の低下は避けられない。JMU撤退やコロナ禍による経済低迷など山積する問題の中で、市政の難しい舵取りは続いていく。



【2面に掲載/関連寄稿文】



 今回の3者協議には、反対派の急先鋒に立って活動を続けてきた「舞鶴西地区の環境を考える会」の参加が受け入れられなかった。協議を傍聴席から聴講するにとどまった同会代表の森本隆氏からの寄稿を以下に掲載する。



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寄稿
舞鶴西地区の環境を考える会 代表 森本隆


 今回の住民説明会の感想ですが、「みっともない」の一言につきます。舞鶴市も日立造船も始終、言い訳に徹した説明会でした。パーム油発電は舞鶴の将来のために必要、住民意見は尊重する、文明的な暮らしをするためには電気は必要だとか論点をずらした説明ばかりでした。挙げ句の果ては「反対運動によるSNSでの誹謗中傷で困っている」などという発言まで飛び出し、私はあきれ果てました。
 ネットでの反対運動を率先して展開した私を除外して、反論できない場に追いやってからの一方的な発言は今後、遺恨を残すことになりました。
 今回は住民説明会ではなく、日立造船と舞鶴市の「俺たちは悪くない」というパフォーマンスだったと私は思います。そもそも、今月中に投資業者が現れない場合は計画を停止するのであれば最初にその一言の説明で終わる話でコロナ渦の最中に沢山の市民を危険にさらしてまで「言い訳の説明会」を開催する必要があったのか疑問です。
 4月のAMP社の撤退は終始一貫、住民に寄り添った見事な撤退だっただけに今回の「みっともないパフォーマンス」は市民として情けなく思います。
 今回の反対運動は本当に沢山の方々のお力によってなし得たものです。国内は福岡から海外のボリビアまで、名前を挙げれば紙面が埋まり尽くすほど沢山の方々に助けてもらった活動ですがやはり、福知山土師新町の告発が大きかったと感じています。舞鶴の騒動が収まれば今後は福知山の反対運動に参加して恩返しをさせて頂きたいと思います。