岡田地区で秋祭り~各地の復興願い 太鼓の音響く

岡田地区で秋祭り~各地の復興願い 太鼓の音響く

投稿日時:2019年10月29日

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「東西」の奉納の様子(枝宮神社)
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太鼓の音が境内に響き渡る(氣比神社)

 記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらした台風19号。その被害が次第に明らかになった13日、岡田由里区自治会の秋祭りが開催された。2004年に当地を襲った台風23号で、大きな被害が出た加佐地区は、以来もたびたび水害に見舞われている。そんな背景もあり、祭りでは台風被害の復興を願う祈りがささげられた。



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 「今日の祭りでは台風19号によって被災された方々の一日も早い復興を合わせて祈念します」と同地区の藤澤宏輝会長が出立ちのあいさつの冒頭で述べると、公民館に集まった区民らは真剣な表情で聞き入った。
 全国各地で大きな被害の出た台風だったが、祭りの当日当地では、早朝に小雨が降った程度だった。普段静かな山あいの地域に威勢の良い太鼓の音と子どもたちの元気な掛け声が響き渡り多くの人で賑わった。昼過ぎ広場に集まった法被姿の参加者。子どもたちが打つ太鼓を合図にゆっくりと櫓が動きだし祭りが始まった。地区には西側に「氣比神社」東側に「枝宮神社」と二つの神社がある。地区のほぼ中央に位置する公民館からそれぞれに奉納するため、約30人が引く櫓を中心に長い距離を移動する。
 自治会長を先頭に奉納で口上を述べる「東西」役の小学生男児、相方の「シンポチ」を担当する男性が続く。幟と鉾が後ろに従い、続く櫓のあとには大人数人が吹き鳴らす笛。先頭から後方を眺めると長い行列で、祭りを実感できる光景が広がっていた。
 氣比神社に到着し太鼓の音が途切れることなく鳴り響くなか、見物人らは子どもや孫の法被姿をカメラに収め、櫓を引いてきた人たちは疲れを見せずに語り合う。皆が晴々とした表情で笑い今日の祭りを盛り上げていた。
 ほどなく太鼓が止み境内が一瞬静寂に包まれると人々の視線は舞堂へと注がれた。「トーザイゴザレー、ハヨーゴザレー」シンポチの掛け声が「東西」の奉納の始まりを告げる。裃を身に着け薄化粧をした凛々しい男児のその姿を、傍らでおどける「シンポチ」がさらに引き立てている。本殿に向かって姿勢を正し声高らかに述べられた口上に大きな拍手が沸き起こった。
 再び鳴り始めた太鼓の音とともに行列は枝宮神社へと向かう。途中におにぎりやオードブルが用意されていた。地区内で鮮魚店を営む夫婦が毎年振る舞っているという。「子どもらも長い道中お腹がすくと思う。食べて喜んでくれる。それが嬉しい」と声をそろえた。
 枝宮神社でも同様に奉納が行われ2時間を超える祭りは終盤に近づいた。この日のために子どもたちは一週間前から夜、公民館で太鼓や口上の練習を繰り返してきた。今年は練習期間が始まってから地区内で熊が目撃され、役員らは例年以上に保護者による送迎の徹底を呼びかけた。
 毎年開催される同地区の秋祭りだが、水害により近年は何度か中止に追い込まれた。その経験が藤澤会長の言葉により重みを持たせ、受け止めた区民の気持ちを一つにしたようだった。
 本来は実りの季節に感謝する秋祭り。全国津々浦々でこのような祭りが開催できる、安息の季節を願いたい。