輝け「学び」の意欲~西高通信制課程の「彩雲祭」

輝け「学び」の意欲~西高通信制課程の「彩雲祭」

投稿日時:2017年12月15日

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教室で充実の笑顔をみせる亀井さん
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ピアノの伴奏で合唱を楽しむ参加者たち

 
 高校相当の教育機関への進学率は、国内において現在、90%台半ばで推移している。そんな中、様々な事情で進学をあきらめたり、退学したりした人の学びの場として、通信制高校が存在する。
 西舞鶴高(松下茂男校長)は、公立では府内で2校のみとなる通信制課程を有し、府北部での受け皿となっているが、3日、同課程の文化祭が開催された。


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【西高通信制課程の「彩雲祭」】



 彩雲(あやぐも)祭と名づけられた文化祭は、今年で26回目を迎える。名は同校校歌から付けられた。
 同課程に在籍する生徒は、現在144人。両丹地域全域に在住する生徒らは、普段は与えられた課題に自宅で取り組み、月に数度はスクーリングという授業のため、実際に学校を訪れる。
 在籍する生徒の年齢は、16歳から72歳と幅広い。
 最年長の生徒である亀井きくのさん(72)は、片道3時間をかけて伊根町から通っている。4人きょうだいの長女だった亀井さんは、経済的な理由で高校進学が叶わなかった。当時は「高校に行きたい」と思うこともなく、それが当然だと感じていたという。両親も他界し、3人の子育ても終えたある日、偶然つけたNHKの番組で、全国で2校だけある中学校の通信教育の現場を目にした。「学びたい」という熱気が画面から伝わり、自身のこころにも火が灯った。
「学ぶ日々は本当に新鮮」
 そう語る亀井さんの瞳は輝いている。普段は農業に勤しみながら、空いた時間を勉強に充てる。漁師の夫は応援もしないが、文句も言わないという。ただ、無口な背中が、自分の挑戦を認めてくれているように感じる。



【好きなことを見つける】



 同祭当日には生徒をはじめ、その家族や同窓会員らが訪れ、生徒会カフェなど様々な催しが繰り広げられた。生活体験発表会では、角田百恵香さんの「夢を現実にするために今すべきことは何なのか」など、生徒や教員らが日々の生活を通じて感じたことなどを前向きな視点でとらえ、それぞれ発表した。
 また、同校教員の小笠原沙紀(さき)さん(25)によるピアノコンサートも開かれた。
 京都市内出身の小笠原さんは6歳の頃、絵本に描かれた鍵盤に興味を持ち、ピアノを始めたという。決して音楽一家と言うわけでもない家庭に育ち、ピアノを深く学ぶ過程では様々な壁が眼前に立ちはだかった。しかし、「好きの気持ちと周りの助け」でその都度壁を乗り越え、クラシック音楽コンクールの全国大会入選や奨学生としての渡独など、成功体験も数多い。「クラシックは、今は亡くなっている方と対話し、心を通わせる音楽」と小笠原さん。「クラスで隣にいる人だけが自分の理解者だと思わず、いろんなものに触れる中で自分のよりどころを探して欲しい」
 コンサートの最後には、曲に合わせて歌を合唱し、参加者らは見事なハーモニーを奏でた。音色に乗せて届くメッセージは、参加者らの心に深く届いたに違いない。「学びたい」という真摯なこころが充満した教室は、雨後に差す一条の光のように輝いていた。