アートはまちに恩恵をもたらすか

アートはまちに恩恵をもたらすか

投稿日時:2017年11月3日

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西市民プラザ横の「赤い家」には、学校帰りの子どもらが集まっている

 芸術家を招き入れて市内に滞在してもらい、ワークショップや住民らと交流しながら地域の魅力をアートの視点から引き出すアーティスト・イン・レジデンス「大京都2017in舞鶴」が今、市内各地で行われている。

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 昨年度は今年につながる実験的な事業である「京都:Re-Search」を展開。全国から公募した写真家や造形作家、芸大生など若手アーティスト7人が参加した。滞在費や製作費は府から支給され、2週間滞在し、舞鶴各地の文化や風土、歴史などを調査し発表した。
 今年は昨年のリサーチをもとに、さらに発展的な事業として同事業を行った。
 劇作家や美術家など5人のアーティストが参加し、9月から約1カ月間滞在し、その成果を10月7日から11月5日まで発表している。
 美術家の臼田那智さん(26)は「舞鶴の赤い家」を発表。西地区のマナイ商店街内にある西市民プラザに隣接する形で、高さ3m、床面約4㎡で内装も外装も赤一色の小屋を建てた。
 「赤い家を通して普段関わらない人が交流し、ここでしか出来ない現象が巻き起これば」と話す臼田さん。赤い家をどう使うかは、市民に投げかけ、室内の家具などを募集。市民と臼田さんが2人3脚で「赤い家」を変化させていった。
 また、子どもを交えた「お絵かき大会」「絵画教室」「洗濯をする会」など多くのイベントが行われ、大学生が訪れることもあれば、地元民がゲームを主催したり、有機野菜のマルシェなどが行われた。
 臼田さんは「舞鶴の空気感が良くでたと思う。舞鶴の方は皆さん気さくな方が多い。来年もこの地で活動したい」と話す。
 府の担当者は「まちなかに芸術家が制作活動をするという普段ない環境が何かのきっかけになり、市民に刺激を与えれば」と話し、アーティストとまちが予想外の化学反応を起こすことを期待している。

 【地域住民からは様々な意見も】

  一方、地域住民からは戸惑いの声も上がっている。
 「何をしているのか、良く分からない」と話すのは西地区の商店街に住む塩尻秀雄さん。
 「まちの地域活性のためというのは分かるが、市民のほとんどがこの事を知らない。せっかく芸術家が頑張っているのに、素晴らしいアイデアが死んでしまう。残念だ」と主催側のアピール不足を指摘する。
 また、60代の女性は「若い人が来て交流が生まれるのは良いことだと思うが、舞鶴が一体どうよくなるのか、見える成果が分からない。府の予算を使うならなおの事だと思う」と、具体的な成果が必要だと話す。
 府の担当者は「市民から多くの意見が上っており、深く受け止めている」と話し「市でも初めての事業ということもあり、どういった層にどのようなツールが効果的なのか模索しており、意見を踏まえ今後に活かしたい」と話す。
 交流人口の拡大や地域の活性化へ繋げる狙いがある同事業。事業自体の認知度の低さが壁となっており、局所的な交流にとどまっているのが現状だ。市民へ根付くにはまだ時間がかかりそうだ。

 「大京都2017in舞鶴」は5日まで。
▼『記憶と忘却と口承』井上裕加里(聚幸庵)
▼『舞鶴の赤い家』臼田那智(西市民プラザ)
▼『光る海(仮)』SHIMURAbros(旧山内家)
▼『Negapedia(仮)』高川和也(大波上集会所)
▼『青に会う』石神夏希(五老ヶ岳公園)。