はやぶさ2の光跡とらえる 水間の小谷さん 自宅観測所から撮影に成功

はやぶさ2の光跡とらえる 水間の小谷さん 自宅観測所から撮影に成功

投稿日時:2020年12月11日

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自宅観測所で笑顔を見せる小谷さん

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はやぶさ2の光跡をとらえた(丸で囲んだ部分)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小惑星探査機「はやぶさ」が、往復60億キロに及ぶ奇跡的な帰還を果たした2010年から10年。2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」が、再び快挙を達成した。今後の宇宙研究に大きな光を灯す偉業達成を、一人静かに見守っていた水間在住の天文愛好家・小谷昭さん(71)が6日未明、はやぶさ2の光跡を撮影することに成功した。



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 小谷さんは、JAXA はやぶさ2プロジェクトなど3団体が実施する「はやぶさ2おかえり!2020共同観測キャンペーン」に参加。提供された位置情報をもとに、自宅に設置する観測所から撮影に挑んだ。
 キャンペーンに参加するのは軒並み大型観測所である中、口径25センチの天体望遠鏡は、観測できるぎりぎりのレベルだという。
 天候が心配される中、賭けとも言える勝負が始まった。観測作業は、文字通り「砂浜で砂粒を見つけるようなもの」。小谷さんは、自らの計算が正しいか、その上で天候を味方につけることが出来るかという痺れる時間を、寒空の下で寒さも忘れて過ごした。
 当初は雲が出ていて、「もうだめか」とも思った天候は、5日午後11時頃から晴れ始めると、日付が変わる頃には快晴に変わった。
 絶対に撮ると挑んだ勝負ではあったが、実際に写真に収めると喜びが溢れ出した。いくつものが重なった「奇跡の撮影」だった。



【「何故」がスタート 好奇心で広がる世界】



 小谷さんが天体観測に興味を持ったのは10歳の時だった。きっかけは、父親から贈られた気象天文図鑑。父が何故そんなものを唐突に渡してくれたのか、今になっても分からないが、それ以来、天体の虜になった。
 今ほど美麗な写真があるわけではない図鑑。イラストが中心の図解であったが、天文少年の想像力は日増しに高まっていった。
 当時、グリコのチョコレートに付いている応募券を集めると、望遠鏡がもらえるキャンペーンがあった。小谷少年は1年以上をかけて応募券を集めた。自分で食べたものだけではなく、友達にもらったり、誰かが捨ててないかと常に地面を見て歩いたという。
 そうして手に入れた望遠鏡が、小谷さんの天文愛好家としてのスタートだった。
 大人になってからは理科の教員となり、退職後は福知山市児童科学館の館長を務めるなど、常に興味を基点とした人生を過ごした。今は、農業に勤しみながら趣味も謳歌する、充実した日々を過ごしている。
 小谷さんは自らの人生を常に彩ってきた天文との出会いを振り返り、「今の子どもたちには、いろんなことに疑問を持ってほしい。まずは外に出て、自然に接して、『なぜ』を感じることで広がる世界がある」と話した。
 これまでの経験や技術、情熱を総動員して挑んだ今回の撮影劇。ここを通過点にして、小谷さんの挑戦は続いていく。