万感の想いで聖火つなぐ~引土の山本さん・精華町からリレー出場

投稿日時:2021年6月4日

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ユニフォーム姿でトーチを掲げる山本さん

 亀岡市の府立京都スタジアムで5月26日、京都府の聖火リレー代替走行が行われた。当日は、引土の公務員・山本新之介さん(49)が精華町のランナーとなり、万感の思いを胸に50メートルを駆け抜けた。



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 山本さんが聖火ランナー選出の一報を受けたのは、今年の1月のことだった。スポンサー枠で応募したのが一昨年の6月で、落選したものと思っていただけに、当初はメールでの連絡を信じることが出来なかったという。
 しかし、当選に間違いがないことが分かると、使命感が沸き起こってきた。山本さんは当時を振り返り、「当選の報を受けたのがこの時期だということは、繰り上げ当選に違いない。絶やすことが出来ないリレーの一員になったからには、役目を全うしなければいけないと思いました」と話した。
 府の職員として、今は綾部市内で働く山本さん。これまでゆかりのない精華町でのランナーとしての準備が始まった。
 20歳の時にバイク事故で左足を失った山本さんは、自身もこれまでに様々なパラスポーツに取り組み、今もパラリンピック出場を夢見るアスリートだ。
 永らく取り組んだチェアスキーでは、全日本チェアスキー男子回転競技で3位入賞するなど第一線で活躍。現在は、車いすハンドボールで近畿リーグを立ち上げるなど、競技普及を目指すとともに自身も選手として活動を続けている。
 コロナ禍で難しい立場となっているアスリートたちに対して山本さんは、「自分にも選手たちの気持ちは痛いほど分かる。必ず大会は行われると信じて、どんな状況だろうが一歩一歩前に進むしかないという思いを聖火に乗せて走りました」と話した。
 また、「トーチは重く、火の熱さを感じた」と振り返った山本さんは、「福島から始まった聖火リレーには、多くの人の思いが詰まっている。(代替走行になって)本来のリレーを準備してきた行政の人たちの無念さを思うと胸が苦しい。トーチの重さは、思いの重さ。それをしっかりと感じながら走りました」と言葉をつないだ。
 今後は機会を作って地元の人たちにトーチやユニフォームを披露したいとする山本さんは、「人生にはつらいこともたくさんあるけど、生きていればこんなに素晴らしい経験をすることもできる。今回の聖火リレー出場が、前向きに生きる目印になればいいなと思います」と笑顔を見せた。
 開催まで残り2カ月を切った東京オリンピック。人々の思いを乗せた聖火は、無事にオリンピックスタジアムに灯るのか。今後の動向に注目が集まっている。