花開いた趣味の力~「カワセミ博士」辻さん幻の鳥の撮影に成功

投稿日時:2021年3月5日

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自慢のカメラで被写体に迫る辻さん
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観察データを説明する辻さん
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辻さんが撮影に成功した「幻の鳥・ヤマセミ」

 「カワセミ博士」として本紙でお馴染みの辻義雄さん(65)が、「幻の鳥・ヤマセミ」の撮影に成功した。ヤマセミは、府自然環境保全課がまとめた「京都府レッドデータブック2015」で絶滅危惧種に指定されるカワセミ科の鳥。趣味から始まった野鳥観察は1年を過ぎ、いよいよ大きな成果を残しつつある。



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 ヤマセミは、全長およそ38cm。国内ではカワセミ類の中で最も大きく、冠羽が特徴。体の上面は白と黒のまだらで、オスは胸に黄褐色の帯と黒い斑点があり、メスでは黒斑が帯状にある。以前は府内各地で見られたが、ダム湖の開発、河川改修や川岸の道路建設などにより、採食環境として重要な大きな淵と止まり場となる樹木のセットが破壊されてきたことが主な原因で、近年は減少の一途をたどっているという。
 辻さんがカワセミの観察を始めて1年。時には1日20kmを歩き、1500枚の写真を撮った。カワセミの出現場所を地図上に記録し、撮影時間など細かな情報も全て記録に残した。学術論文を作成できるほどのデータを収集した辻さんが、次なる目標として掲げたのが、ヤマセミの撮影だった。
 当初は雲をつかむような目標だったが、縁にも恵まれ「その時」は望外に早く訪れた。神々しくも感じられる姿をファインダー越しに捉えた時、「指が震えた」と振り返る辻さんは、「舞鶴の豊かな自然環境は素晴らしい。野鳥観察をはじめて、今更ながらふるさとの魅力にはまっています」と笑顔を弾けさせた。



【純粋な疑問が趣味の原点】



 辻さんは、昭和30年に倉谷で生まれた。3人きょうだいの長男。自然豊かな環境で伸び伸びと育ち、長じて岡山大に進学した。高校の理科教師を志したが、叶わず大手食品メーカーに就職。研究職としての会社員生活が始まったが、転勤ありきの社風に未来を感じられず退職。帰郷の決め手は、帰省時に聞いたかまぼこの食品検査に携わる求人の話。まさに故郷が呼び寄せた縁でとんとん拍子に採用が決まり、辻さんの舞鶴生活が再び始まった。
 以来、「かまぼこの街 舞鶴」の形成に大きな役割を果たしてきた職人気質の辻さんは、趣味の人でもある。
 本紙でも紹介した模型作りや写真撮影、野鳥観察と幅広い。辻さんは自身を評し「のめり込むタイプである上に、あれもこれも同時進行でやるから非常に忙しい」と苦笑する。
 カワセミ観察の原点は、「あの綺麗な鳥は、どんな生活をしているんだろう」と子どもの時に思った純粋な気持ち。数10年を経て再燃した童心が原動力となっている。
 「ヤマセミのような希少な鳥を観察できる舞鶴は、本当に誇らしい。生まれ育った大好きなふるさとで、趣味に没頭できる。こんな日々を過ごすことが出来て本当に幸せです」と辻さん。次の目標は、昨年8月を最後にして姿を見かけていないカワセミのメスを撮影することだという。辻さんの「趣味」が、いずれ当地のカワセミの生態をつまびらかにする。そんな日の到来を心待ちにしたい。