立ちビリケン再び~交通安全の見守り活動に役立てて

投稿日時:2021年2月9日

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啓発活動のタスキを着けたビリケン像
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稲岡さんと立ちビリケン像

 余部下の画家・稲岡博さん(71)が春の交通安全週間を前に、これまでに制作した「立ちビリケン」を「啓発活動の目印にしては」と設置先を募集している。
 東日本大震災が発生した2011年、東北を元気づけようと作り始めた「立ちビリケン」が、10年を経て新たな活躍の場を求めている。



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 「ビリケン」は幸運を招く神の像として広まっており、尖った頭と吊り上がった目が特徴。20世紀初頭にアメリカで生れた。日本では大阪市の通天閣にあるものが有名で、足を触るとご利益があると言われている。
 絵画専門の美術家であった稲岡さんがビリケン像を作り始めたのは、2011年。東日本大震災で、日本中が元気を失っている時のことだった。
 ある日訪れていた友人宅で、置いてあったビリケン像に向かって、「こんな時に座っててどないするんや」と友人が発したひと言で、インスピレーションが沸き起こったという。
 「こんな時だからこそ、ビリケンも立ち上がって、誰かを勇気づけられたら」と考えた稲岡さんは、座った姿ばかりのビリケン像を立たせる「立ちビリケン」の制作に取り掛かった。
 それまでは彫刻などの造形物を作ったことはなかったが、試行錯誤の末に完成させた。像は紙粘土で成形し、金箔や金色の塗料で仕上げた。
 稲岡さんは、次女が盛岡市に住んでいた縁もあり、被災地の幼稚園などに寄贈。以来、「町づくりの役に立てれば」と、全国各地に像を送った。ビリケンの本場である大阪・新世界の通天閣近くにも、高さ3メートルを超える像を設置するなど、これまでに100体ほどの立ちビリケン像を作ってきた。
 しかし、ここ数年は制作する機会も減少し、「立ちビリケンの役目も終わった」と考えるようになっていた。



【新たな春に希望を込めて】



 コロナ一色で訪れた2021年。震災から10年の節目になる一年が始まった。 
 2度目の緊急事態宣言が発出され、暗いニュースばかりが流れる日々の中、稲岡さんの心にはポジティブなイメージばかりが浮かんできたという。
 「今年以降、新たな希望が芽吹いてくる。コロナで身を縮めた次に、体全体で伸びあがる季節が訪れる」と稲岡さん。そんな考えのもとで、「立ちビリケン」にも新たな役割を担ってもらおうと思いついた。「立ちビリケン」による交通安全見守り活動だ。
 稲岡さんは、「震災から10年がたち、再び世の中は暗く落ち込んでいる。立ち上がったビリケンが人の心を和ませ、交通安全に寄与出来たらうれしい」と話している。像は貸し出し、寄贈のどちらにも応じるという。
 [お問い合わせ]TEL:090・5134・9849 稲岡さんまで。