在りし日しのぶ1500点~圧倒的な模型コレクション

投稿日時:2020年10月9日

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来場者と談笑する京子さん(右)
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我が子を抱く若い頃の康次さん

 浜の七条商店街にある旧岡田板金店で、亡くなった元店主が集めた模型などを展示している。9月下旬からこれまでに5日間展示され、遠くは兵庫県からの愛好家など、貴重なコレクションを一目見ようと多くの人が訪れた。11日が最後の展示日として予定されており、その後の開催は未定となっている。



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 1500点にも及ぶ膨大なコレクションの主は、故・岡田康次さん(享年65歳)。家業の板金店を営む傍ら、長年に渡ってプラモデルやラジコンカーを収集した。
 趣味に目覚めたのは、小学3年生の時だった。きっかけは親せきのおじさんにもらった車の模型。それ以来、プラモデル製作にのめり込んでいった。
 「はじめてのデートで連れて行ってくれた映画も『栄光のル・マン』という車の映画だった」と妻の京子さん(70)は振り返り、「私はちっとも面白くなかった」とほほ笑んだ。20代のはじめ頃、アルバイトしていた楽器店で客として訪れていた康次さんと知り合った京子さん。二人は数年後には結婚し、二人の子を授かった。
 結婚生活は穏やかなものだった。裁縫などを趣味にする京子さんと、模型一筋の康次さん。家族全員で淡水魚飼育に目覚めたこともあったり、それぞれが趣味を謳歌して日々を過ごした。
 しかし、悲劇は突然に訪れた。2016年11月10日。仕事に出かける京子さんが、声をかけても反応のない康次さんに気づき、救急搬送。そのまま帰らぬ人となった。



【亡き夫にスポットライトを】



 突然の別れから4年。ずっとそのままになっていた「趣味の部屋」を整理する必要が出てきた。長く暮らした工場兼自宅からは康次さんの死後に引っ越しており、引き払う検討を始めていた。
 必要に迫られて始めた整理作業だったが、いざ始めるとあまりの数のコレクションに言葉を失った。しかし、一つひとつが丁寧に保存されていて、コレクションに対する康次さんの愛情があふれていた。
 整理しながら丹念に拭いていると、京子さんの心に強い思いが沸き起こってきた。「それがほんの小さなものだとしても、一回くらいはスポットライトを当ててあげたい」と考えるようになったという。「シャイな人だったから、作品を誰かに見せたりすることがなかったんです」と京子さん。「作品は夫の生きた証。価値の分かる人に見てもらいたいはずだ」との思いで、展示会の開催を決めた。
 9月に始めた展示会は、連日賑わったわけではない。ほとんど人が来ない日もあったが、来る人は一様に、「とってもいいもの見せてもらいました」と満足そうに話して帰ったという。
 古くからの知人だという男性は、「奥さん、頑張ったね。旦那さん、天国で喜んでるよ」と京子さんに声をかけていた。
 夫婦二人三脚の展示会は、残すところあと一日。貴重なコレクションを見に行ってはいかがだろうか。
 【開催日】
 11日、午後1時~5時。旧岡田板金店(浜の七条商店街)で。