黒板アートに思いを込めて~沈滞ムードかき消す絵の力

投稿日時:2020年6月12日

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カウンター上部には緻密な絵が描き込まれている
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黒板アートの前で笑顔を見せる小豆さん

 円満寺のレストラン「ガーデンカフェ」に黒板アートが設置され、訪れる人を楽しませている。店主の福井秀幸さんは、「万全の対策の上で営業しているので、ぜひお越しいただき楽しんでもらえれば」と話している。



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 黒板アート(チョークアート)とは名前の通り、学校にある黒板をキャンバスに見立ててチョークで描く絵画のことをいう。近年は愛好家が全国で増加し、黒板アート専門のコンクールが開催されるなど盛り上がりを見せている。飲食店でも、一部の壁に黒板素材を使用してメニューが描かれたりと、店内装飾に活用する店舗も少なくない。
 開店して7年になる「ガーデンカフェ」でも、カウンター上部に黒板素材を使用し黒板アートが描かれていたが、多忙も手伝って折角のスペースをなかなか活用できずにいた。そんな中訪れたコロナによる営業自粛。
 「不安ばかり募る日々だったが、この期間にしか出来ないことに取り組もうと思った」と福井さんは、以前にも貸し切りパーティーのウェルカムボードを作成したことのある義妹の小豆加奈さん(38)に、黒板アートの制作を依頼した。
 カウンター上部の絵はまだ制作途中だが、人気アニメをモチーフにした作品も描いた。絵の中には、「家族愛」など随所に思いを込めた言葉を散りばめ、「世間というウイルスに 心が感染されませんように」とのメッセージも書き込んだ。
 絵を描いた小豆さんは、「絵を描いているうちに、次々と構想が浮かんだ。見ていただいた人に前向きな気持ちが伝えられればうれしい」と話した。



【絵の力で苦境に立ち向かおう】



 義兄の店への愛着は強いという小豆さんは、依頼を受けて何気ない気持ちで黒板アートを描き始めた。絵を描く目的は、店の「売り」を表現することだった。
 デザイン内容に対する福井さんからの特別の要望もなく、思いついたイメージをキャンバスにぶつけた。
 すると、10日間ほどの制作期間で、意識せず絵の中に物語を紡いでいることに気がついた。
 中学3年生から5歳まで、4人の母親として日々奮闘する小豆さん。これまでに子育てに悩み、自信を失ってしまうこともあった。
 しかし、どんな時にも光は射し、やがて浮き上がることが出来た。自身のこれまでを振り返った時、絵の中に描いた蛇行するリボンは、まさに人生の道程に似ていると感じたという。
 小豆さんは、「今はコロナで大変な世の中だけど、この期間のおかげで家族の絆が深まったということもあると思う」と話し、「どんなことも捉え方次第で結果が変わってくる」と前を向いた。
 これまでに経験したこともない苦境に遭遇し、「心が折れそうになることもあった」と話す福井さんは、「絵に勇気づけられた」と笑顔を見せた。
営業自粛期間中に制作を進めた大作は、反転攻勢の狼煙となる。福井さんと小豆さんの笑顔に、これから勢いづく同店の巻き返しを確信した。