東北・被災地ルポ 3.11を前に ―第5回― 岩手県釜石市②  被災分散で深刻さ見えにくく 仮設暮らし 生活不活発病増える【舞鶴】

東北・被災地ルポ 3.11を前に ―第5回― 岩手県釜石市② 被災分散で深刻さ見えにくく 仮設暮らし 生活不活発病増える【舞鶴】

投稿日時:2012年3月2日

1203021

釜石市の被害を数字から見ておきたい。釜石市災害対策本部が昨年11月にまとめた資料によると、死亡者数は886人、行方不明者は173人。家屋被害は全壊が2954、大規模半壊396、半壊291。主産業の水産関係被害額が約225億円にのぼる。  鵜住居地区に次いで被害が大きかったのが、市役所や事業所、商店が並ぶ中心部の釜石地区だ。立ち並ぶビルは流出することはなかったが、営業を再開している店舗に交じって、壊れて空き屋になった建物がそこここに散見される。人通りは少ないが一軒のホテルは満室だった。  町の中心部は沿岸だけでなく、JR釜石線に沿って内陸部にも続いているため、町の機能が残ったことで被災直後の活動も早かった。一概に被災地といっても被害の程度は様々で、それが住民たちの意識にも影響してはいないのだろうか。後に被災者の間で格差が生まれていると聞いた。沿岸部一帯のほぼ全ての建物が失われた南三陸町に比べ、被害が分散しているためその深刻さは見えにくい。  釜石市では3164戸の仮設住宅を建設し、3102戸が入居(昨年11月)した。市内でも最大規模の仮設住宅団地がある平田(へいた)地区を訪れた。一般の住居のほかに、ケアマネジャーの相談室、子育て支援の場のママハウス、スーパーや食堂などの平田商店街も入っていた。近くには障害者や高齢者が入居する福祉棟も並ぶ。雪の降る外では、ボランティアの若者たちが雪かきをしていた。  被災地では仮設に入居してもこれまでの畑仕事などができなくなり、また寒さもあって閉じこもりがちな人も多く、特に高齢者にうつや体の機能が低下する生活不活発病が目立つ。その対策として難民を助ける会は宮城と岩手の仮設や障害者施設などで、カウンセラーによる傾聴活動、健康体操や地域交流イベントなどを実施し、被災者の心身の健康の回復にも務めている。  助ける会は釜石市で空き室の仮設住宅を現地事務所として利用している。仮設で寝泊りもするスタッフの京野克彦さん(43)は「室内にすきま風が入るので天井部分をテープで塞ぎました。トイレの水も凍って使えなかったり、ひどい時には室内で結露した水分でつららができています」と、この冬の仮設暮らしの厳しさを肌で感じていた。 (つづく)

写真=平田地区の仮設住宅で雪かきをするボランティアたち(2月1日、釜石市)