町屋の風情そのままに ゲストハウス「さいかあん」オープン  

町屋の風情そのままに ゲストハウス「さいかあん」オープン  

投稿日時:2017年9月15日

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紬希ちゃんをおんぶしながら仕事に励む長尾さん
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趣きのある外観。長尾さんの筆による看板がひときわ目を引く
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無料のアメニティグッズも完備する

 平成24年。当地では画期的な町屋レンタルスペース「宰嘉庵(さいかあん)」がオープンした。
 それから5年、着実な運営実績を積み重ね、宿泊機能を備えたゲストハウス「さいかあん」として新たな歩みを始めた。

*     *     *     *

 宰嘉庵は、平野屋で空き家となっていた町家の活用を、まちづくりの任意団体「KOKIN(こきん)(大滝雄介代表)」が託されて誕生した。空き家の持ち主は、京都市在住の石田朝子さん。明治期の建築による風情ある佇まいを何とか活用しようと、同団体に声をかけた。
 町屋は会員らの手により生まれ変わり、ギャラリーやイベントなど、様々な用途で市民に親しまれてきた。
 そんな中、大滝さんら同団体のメンバーには、ひとつの思いが育ってきた。
「外から来た人とも、このまちの魅力を共有したい」
 田辺城下町の町屋群が醸し出す独特の風情。魅力あふれる街の風景を感じれば感じるほど、その思いは大きくなった。
 思いの強さに導かれたのか、昨年ひとつの出会いがあった。
 夫の仕事の都合で当地に引っ越してきた長尾優さん(28)は、以前は京都市内で民泊事業に携わったことがあった。大滝さんは、知人を介して長尾さんと出会い、事業推進に拍車がかかった。
 長尾さんは大阪市内に生まれ育ち、関西大在学中には留学も経験した。現在は、11カ月になる紬希(つむぎ)ちゃんの子育てに奮闘しながら、事業の環境整備にまい進する。
 舞鶴には社会人になって初めて、日帰り旅行で訪れた。想像以上に観光地然としていると感じたという。昨年7月の転居後は、交通の便と老朽化が進んでいる社宅の住環境にしばらく苦しんだが、持ち前の行動力で運転免許を取得し、自宅も夫とともにリフォーム。環境への適応は早かった。転居後3カ月で出産したが、「舞鶴は子育てに適したまちで暮らしやすい」と話す。
 子育て施設の充実はもちろんのこと、まち全体に子どもを歓迎してくれる雰囲気を感じるという。
「これまでの経験を活かして、『舞鶴のあなたのおうち』として運営したい」自らの足跡がない白紙のまちへ来て一年。自分で切り拓いた居場所に立つ長尾さんの言葉から熱意が迸る。いずれも書道の師範である祖母と母のもとで育ち、師範に次ぐ実力を持つ長尾さん。「外国人向けの書道体験なども計画していきたい」と目を輝かせた。
 「舞鶴で楽しむ新たな選択肢になればうれしい」と大滝さんは話す。宿泊者へは銭湯無料チケットの配布や、ポケットWi-Fiの貸し出し、市民目線でのおすすめスポットの提供などを行うほか、今後はレンタサイクルや商店街まち歩きツアーなども提供していく考え。「夢」だった計画は、出会いによって「現実」へと昇華し始めている。
 民間による草の根の「おもてなし」の実践。新たな推進力を得た「さいかあん」の今後を期待せずにはいられない。

【施設概要】
▼所在地/舞鶴市平野屋69
▼駐車場/3台
▼部屋数/和室2部屋(6畳=定員1人・14畳=定員4人)
▼宿泊金額/和室6畳1人1泊4200円~・和室14畳1人1泊6000円~