音楽が紡ぐ地域の誇り

音楽が紡ぐ地域の誇り

投稿日時:2018年9月21日

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城南中教諭の川﨑さん(最前列中央)
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「メッセージ」を練習する城南中吹奏楽部の生徒たち

 来月13日、浜の総合文化会館で舞鶴市中学校文化祭典が開催される。この事業は、市内7中学校の生徒たちが音楽活動を通じた文化交流をする恒例行事だ。
 15回目の開催となる本年は、シンガーソングライターのユウサミイ氏を招いて、同氏の楽曲を参加者全員で合唱する予定。例年とは異なる設えに込められた想いを追った。



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 20年間に渡って開催され、各中学校の文化交流の役割を果たしてきた「中学校音楽会」は、平成15年度より名称を「舞鶴市中学校文化祭典」と改め、現在に至っている。
 本年度は市内7中学校の生徒355名が参加し、それぞれの日ごろの練習成果を発表する。
「音楽は人の心を動かし、人の心をつなぐものだと改めて感じている」と城南中で音楽を担当する川﨑美耶子教諭(35)は話す。自身も、ユウサミイ氏の楽曲「メッセージ」に大きな感銘を受けた1人だ。節目となる本年度の事業は、川﨑さんが中心となって企画をした。
 川﨑さんは、昭和58年に綴喜郡田辺町(現=京田辺市)に生まれた。
 生家は新興のベッドタウンにあり、今思うと家だらけの特徴のない街並みだった。幼少より活発な性格で、外で遊ぶことが多かったが、母が音楽好きだったため、保育園児の頃よりピアノを始めた。
 「ただの目立ちたがり屋だった」と自身で振り返る通り、自由奔放に育った。
 地元の大住中に進んでからは吹奏楽部に所属し、進学した東海大仰星高も含め、6年連続で関西大会に出場。常に強豪校の第一線で活躍した。続いて進学した大学でも声楽を学ぶなど、文字通り常に音楽と共に青春を過ごした。
 しかし当時は教師としての将来は視野になく、転機が訪れたのは4回生の時に取り組んだ教育実習だった。
 母校の大住中で、3週間の実習。短期間ではあったが、伝えることで、それを受けて変化する生徒の姿に、これまで経験したことのない感動を覚えた。その時感じたのは、音楽を共有する喜び。合唱であれば、最初に歌った時と指導後とでは、明らかな違いがあった。歌の端々には、指導に応えて生徒たちの心が動かされ、音楽を表現する喜びが込められているように感じた。
 その後川﨑さんは、本採用となり、由良川中に赴任することになる。  
 それまで府北部に無知であったため、大きな不安を抱えて新生活は始まった。
「最初は3年で地元に帰るつもりでした」と川﨑さん。しかし、由良川中と岡田中の統廃合に携わった経験から、舞鶴に住む人々の地域を大切に思う気持ちに触れ、もうしばらく舞鶴で教師を続けようと決めた。生徒に多くの経験をさせてやりたいとの思いや、自分も何か音楽を通して地域に貢献できることはないかと考えていた頃、市政70周年を記念して行われた舞鶴市民第九合唱団に加佐中生徒と共に参加した。
 関わった生徒たちが経験を積みながら良い方向に変化していく姿を目の当たりにする喜びや、多くの尊敬できる人たちとのかけがえのない出会いを経験するごとに、当初の考えは霧散していった。
 この春には、トリ貝漁師の夫と結婚。もともと合唱団で活動する義母との縁がきっかけでもあった。義母もまたピアノ教師で、「親子2代が、漁師と音楽教師の組み合わせになった」と笑顔を弾けさせた。
 「無味乾燥なベッドタウンで育った自分は、郷土愛なんて感じたこともなかった。だけどこの街には素晴らしい風景や温かい人達、そして豊かな歴史が存在する。生徒たちには生まれ育った街への誇りも、音楽を通じて感じてもらえたら嬉しい」と川﨑さんの言葉に力がこもる。「音楽には心を動かす大きな力があると思う。生徒たちの歌を聴いて下さる方々にも多くのことがしっかりと伝えられるよう練習を重ねたい。自らを導いてくれたこの街に、音楽を通じて恩返ししていきたい」と事業に向けた意気込みを語った。
 参加者全員の想いが込められた歌声には、どんなに重みがあるだろう。感動的なステージが、今から楽しみでならない。
 当日は一般参加もできる。入場無料。午後1時開演。(12時45分開場)