野田笛浦の詩 魅力味わって 公文さん 2年にわたる研究の成果1冊に 田辺藩家老 全国に名馳せた詩人の96首 おおらかな人柄を伝える【舞鶴】

野田笛浦の詩 魅力味わって 公文さん 2年にわたる研究の成果1冊に 田辺藩家老 全国に名馳せた詩人の96首 おおらかな人柄を伝える【舞鶴】

投稿日時:2013年5月14日

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田辺藩(舞鶴)で生まれ、家老などを務めた野田笛浦(てきほ)(1799~1859)が作った詩(漢詩)96首を読み下し、解釈してまとめた詩集を、元高校教諭の公文公雄(きみお)さん(76)=泉源寺=が、このほど自費出版した。江戸期には詩人、名文家として世に知られていた人物。自然や酒を愛し、旅に暮らし友を大切にしたおおらかで義に篤い人柄を、詩を通して伝える労作の1冊だ。
 笛浦は13歳で藩から江戸へ遊学に出され、昌平坂学問所で学んだ。28歳の時、清国の商船が駿河清水港に漂着し幕府から通訳を任され、筆談の記録を出版したことで名が広まった。江戸を出て約20年間各地を旅し、学友らと交流を重ねた。51歳で藩主の牧野節成(ときしげ)の命で帰郷、家老として藩校の改革や砲台建造に務めた。
 後世、書家として有名だが、詩と文章も秀でていた。本屋らが出版した「摂東七家詩鈔(せっとうしちかししょう)」に、当時を代表する詩人たちに連なり、77首の詩が掲載され、江戸後期の四大文筆家の一人に挙げられている。詩文集を自分で作るなどした。
 国語の教師時代、公文さんは笛浦を知らなかったが、退職後に市郷土資料館で開かれた笛浦の企画展に伴い結成された詩を読む勉強会に参加。「摂東七家詩鈔」をテキストに毎回、詩の読み方、注釈、解釈の案文を作り、仲間たちと意見を交わした。約2年にわたった研究の成果を本にまとめた。
 「春を楽しむ」「旅」「名所絶景歌」など詩を17項目に分類して掲載。花の下で酔う春の花見、夏の日の木陰で書を読むなど四季の楽しみ、田辺の海辺の九景浦(くけいがうら)の美しさ、ともに学問所で学んだ親友への深い敬愛の情、飢饉に苦しむ人々に心を痛め時も忘れて救済策を語り合うなどの姿が、活き活きと描かれている。
 声に出して読んでもらい、また詩の持つ味わいを感じてもらえるよう、読み下し文などに工夫を凝らした。さらに、「馬に揺られての『花見』。まことにのどかだったろう」「一年に何度も無い見事な秋の夜。酒の味も格別であろう」などと自身の感想も添えている。
 公文さんは「自然の中の美しさを見つけて味わい、温かく正義感の強い笛浦さんに、詩を通して出会うことができました。勉強会の皆さんにも当時の時代背景など教わることも多く、詩を深く読めました。優れた詩を残した笛浦さんが舞鶴にいたことを知ってもらえれば」と話している。
 本は182ページ。700部作成した。1冊1,000円。なみえ書店の三条店とらぽーる店、舞鶴堂書店で販売している。

写真=「自然を愛し、温かい人柄を詩から感じた」と語る公文さん