若の湯×銭湯絵師 【舞鶴】

若の湯×銭湯絵師 【舞鶴】

投稿日時:2016年5月13日

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        銭湯絵師の中村さん
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         明治創業の若の湯

西舞鶴の商店街内にある若の湯で5月8日、壁の修繕に伴い、銭湯の背景画の他にリリー・フランキー原作の小説「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」の原画も手掛けた銭湯絵師の中島盛夫さんによって壁一面に描かれた。
「銭湯絵師」とは、銭湯の浴室壁面の背景画(通称=銭湯ペンキ絵)を描く職人のことで、現在、国内に中島さんを含め、2人しか存在しない。たかがペンキと思われるかもしれないが銭湯に絵を描くのは並大抵の技術ではない。ペンキ絵は油絵、水彩画と違い、描くための道具や手法も独特で、遠近感、色彩、塗料の材料、調合、描くテクニックなど求められるものが多くちょっとやそっとで習得できるものではない。

今回、若の湯に生まれた作品は男湯が富士山と天橋立が織りなす情緒ある作品で、女湯が赤富士をメインとした雄大な作品で、どちらも「富士山」をテーマとしている。中島氏は「空塗り3年、松の木10年、富士は一生というほど、富士山を描くのは難しい。冠雪した雄姿など、一生かけて一人前になれるかどうか」とこれまで1万点以上も手掛けてきた富士山の難しさの向こう側にある魅力を語った。

若の湯は明治26年の創業で100年以上の歴史を持つ舞鶴に2件しかない銭湯の内の一つだ。現在の建物は昭和の初め頃に建てられた洋風建築で、脱衣所には漢数字が記された木製ロッカー、タイル張りの大きな流し、10円で稼動する旧型マッサージ機、アナログ体重計に冷蔵庫、浴場にはケロリンの洗面器に、健康ランドによくある○○風呂なんてものは存在しない。暖簾をくぐった瞬間に、タイムスリップしてしまったかのような雰囲気が漂うレトロな銭湯だ。
湯温は41℃くらい。一つはジェット付きで温度は43度くらい。少し熱めのお湯につかり、ふと壁の方を見ると目に入る、湯を綺麗に保つとともに湯で身体も心も清浄にするという意味の「清浄の心得」が心に染みる。

店主の若井さんは「若の湯の修繕を考えていた時にインターネットで見つけ、思わず連絡をした。絵を見ながらゆっくり浸って一日の疲れを取って頂ければ。」と話した。
できることなら教えたくなかった舞鶴の隠れスポット。明日から並ぶのを覚悟しよう。