真実をユネスコ世界記憶遺産に 舞鶴引揚記念館 2015年の登録目指す 66万人迎え入れた街から発信【舞鶴】

真実をユネスコ世界記憶遺産に 舞鶴引揚記念館 2015年の登録目指す 66万人迎え入れた街から発信【舞鶴】

投稿日時:2012年8月28日

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今年度から管理運営体制が市直営施設となった、平の舞鶴引揚記念館が、全国から寄せられた約1万2千点にのぼるシベリア抑留や引き揚げに関する収蔵品を、「ユネスコ世界記憶遺産」へ登録するために動いている。貴重な歴史資料として次世代に継承し、広く情報発信していくための取り組み。4月から学芸員も常勤し、職員らが収蔵品1点1点をデジタル化、専門家のアドバイスを受けながら、登録にふさわしい資料であるかを選考する作業を進めている。ユネスコの登録事業が2年ごとのため、最短で2014年3月の申請を目標にし、2015年の登録を目指す。  「ユネスコ世界記憶遺産」は、自然や建造物などの「世界遺産」、「無形文化遺産」と並ぶユネスコの3大事業の1つで、1992年に創設。文書や書物、楽譜、絵画、映画などの史料で、後世に伝える価値のある記録物を登録・保護することを目的としている。「アンネ・フランクの日記」や「ベートーベンの手書きの楽譜」など、現在世界で245件が認定されている。  認定基準は、複写や模写や偽造品でなく、記憶遺産としての本質や出所が確認されていること。世界的に無二の存在で、その損失や悪化が人類の遺産に損害となるもの、ある一定期間か特定の文化圏において多大な影響を与えたもの、などとされている。  昨年、炭鉱発祥地の福岡県田川市が、山本作兵衛さんの炭鉱記録画・日記等697点の史料で、日本で初めて「ユネスコ世界記憶遺産」に登録され、話題になった。同館はその例を参考に、田川市や文化庁などにも相談、情報収集や助言なども受けている。提供された引き揚げの資料が残した戦争の史実を、66万人を迎え入れた舞鶴から発信するため、登録申請に向けて活動していく。  同館館長の山下美晴さんは「芸術性よりも、当時の近代化の記録としての価値が問われるのが記憶遺産。同館に寄せられたシベリア抑留者たちが命がけで日本に持ち帰られた、現地で書いた日記や手紙などの貴重な文字資料は、十分対象になり得る価値があると思っています。戦後70年近く経った今、後世に伝えて残していくための行動をしなければいけない時に来ていると思います」と話している。

写真=収蔵品のデジタル化作業をする職員