京大大学院とメーカー「ネオス」が開発 環境にやさしい 流出油処理剤の商品化にめど  【舞鶴のニュース】

京大大学院とメーカー「ネオス」が開発 環境にやさしい 流出油処理剤の商品化にめど 【舞鶴のニュース】

投稿日時:2002年10月1日

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写真は舞鶴湾で実験装置を設置する研究者ら

 海に流出した油を処理する際、環境に負荷をかけない油処理剤を開発しようと、京都大学大学院農学研究科と化学薬剤メーカー「ネオス」(本社・神戸市)が、舞鶴市長浜の同科付属水産実験所で、最終の実証実験に取り組んでいる。従来の油処理剤は生物への毒性を持っていたため、環境保護の高まりを受けて、汚染源とならない処理剤の開発が求められていた。国内で初めての商品化に向けて、3年目となる実験は最終クールを迎えている。
 海に流れ出た油が分解されてなくなる仕組みは、波による自然の力と海に住む微生物が油を食べて分解することで処理が行われる。油処理剤はこうした微生物を活性化させ、分解を促進する働きをもつ。いわば微生物にとっては「健康食品」のようなもの。ナホトカ号の油流出事故でも油処理剤が使われたが、従来のものは毒性があり、環境への影響が指摘されていた。
 農水省の外郭団体「財団法人・漁場油濁被害救済基金」から、京都大学とネオス社が共同で油処理剤の研究の委託を受けた。海から打ち上げられて砂浜に残った油の分解を目的に、開発した新処理剤を実験室で試してきたが、2年前から海の現場でこの処理剤の効果を実証するため、舞鶴湾に面した水産実験所で実験を開始した。大学側は海洋分子微生物学分野の吉永郁生助手、実験所に常駐する海洋生物機能学分野の上野正博助手が担当している。
 過去2年間のデータ解析で、油処理剤の効果は確認できた。また、この実験の過程で、舞鶴湾は瀬戸内海に比べて、油を分解する微生物が10倍~100倍多く生息しているのが分かった。今年7月からの第1クールの実験では、処理剤の形や量などのパターンを変えて、どれが一番効果があるかデータを収集した。
 最終クールの実験は9月26日から112日間にわたって行う。波うち際に砂を入れた海岸に長さ120センチ、直径15センチの観測井戸を30個設置。原油と油処理剤を混ぜた砂を袋に入れて、その井戸の中に置いた。1週間から3週間ごとに油と砂の状態をチェックし、データ解析をする。吉永助手は「環境にやさしい処理剤の商品化に向け、やっとめどがついた」と話していた。