クルーズ船観光は宝の船か 【舞鶴】

クルーズ船観光は宝の船か 【舞鶴】

投稿日時:2016年5月17日

IMG_3127
日本文化にふれる外国人観光客
310005_114191468751388_1781954134_n
クルーズ船を見送る市民ら
IMG_3135
抹茶を楽しむ外国人観光客

 松陰の舞鶴西港第2埠頭に4月14日と30日の2回、クルーズ客船「ル・ソレアル」が寄港した。舞鶴港は今後、大阪港を出発地とするクルーズツアーの到着港となるとともに、釜山港を経て大阪港を到着地とするクルーズツアーの出発地として、ターミナル機能を果たすこととなる。
 仏国のポナン社が運行する同船は総トン数10700●、全長142●、全幅18●。乗客定員は264人、乗組員139人。
 2013年に就航したばかりの新型船で、大型のヨットを思わせる概観が特徴で、スタイリッシュかつ高貴な雰囲気の内装が特徴である。また、「ガストロノミックシップ(食通の船)と呼ばれ、食にも定評がある。客室はほとんどに海側バルコニーがあり優雅な時間を過ごせる。
 4月6日に大阪を出航し、宇野、広島、宇和島、鹿児島、長崎、釜山(韓国)、境港に立ち寄り、舞鶴に寄港する。欧米からのツアーの一環として組み込まれており、ツアー客らは各旅行会社の送迎車や観光バス、タクシーに乗り込んだ。
欧米からの乗客が大半を占め、フランスからのツアー客が多い。そのため港の観光案内所では、フランス語や英語などでの対応に追われていた。フランスから来たベルニエさん(42)は、「日本に来たのは3回目。舞鶴は初めて来たけど海と山もあって、すごく素敵な港町。町の人たちも、私をセレブのようにもてなしてくれて、機会があればまた来たいわ」と語った。
出航時には「クレインズ舞太鼓」の和太鼓演奏、府民による「見送りサポーター」などが航海の安全を祈り見送った。
 このように大型クルーズ船の寄港が舞鶴市の日常の風景になりつつある。
今年度の寄港回数は3月25日~10月4日の間で過去最多の17回。10年前は2~3回の寄港だったのが、2013年を境に急激に増加した。
きっかけは2011年11月、京都舞鶴港は国際海上コンテナ、国際フェリー・国際RORO船、外航クルーズ(背後観光地クルーズ)3つの機能で「日本海側拠点港」に選定された。
 2013年には客船寄港時、乗客・乗務員の満足度向上のため、Wi-fi環境整備など施設面での充実のほか、歓送迎行事や商店街の取り組みなど心を込めたおもてなしを京都府及び府北部市町が連携して実施し、クルーズ振興に貢献したとして京都舞鶴港が、「クルーズ・オブ・ザ・イヤー2013」(一般社団法人日本外航客船協会主催)の特別賞を受賞したことで、おもてなしの意識を推進しクルーズ観光に力を入れている。
 数千人の訪日客が一斉に上陸して観光や飲食、買い物へと繰り出すクルーズ船は、寄港地にとってまさに“宝船”に見える。
国土交通省の試算によると、神戸市に寄港した際の乗客1人当たりの消費額は3万8千円で、3000人を超えるクラスの大型クルーズ船船が1回入港すると経済効果はざっと1億4千万円。入港料や食材の調達費なども加われば、その経済効果はさらに膨らむこととなる。
 このようにまさに“宝船”に見えてしまうクルーズ船観光。これだけの経済効果を生み出すのは寄港地がその場で観光を完結できる都会だからだろう。 
 一方で、舞鶴はどうだろうか。下船した乗客は観光バスに乗り、天橋立や京都市内等の人気観光スポットに行っている。とてもじゃないが街が潤っているとは言えない。仕事を休まなければいけないなど負担ばかりが圧し掛かる「おもてなし」をする市民の顔にもどこか疲労の色が見える。
 国が高らかに掲げる~クルーズは21世紀最高の観光商品~。決して間違いではない。確かに大きなビジネスチャンスではある。しかし一度振り返り、皆で議論し「街に合った」方法を考える時期に来ているのではないだろうか。