『タイの国 JICAそろばん先生奮闘記』 教室経営の西野さんが本出版【舞鶴】

『タイの国 JICAそろばん先生奮闘記』 教室経営の西野さんが本出版【舞鶴】

投稿日時:2005年1月28日

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舞鶴市引土など市内3カ所でそろばん教室を経営する西野啓子さん(57)=宮津市由良=が、国際協力事業団(JICA)の派遣で2001年から1年間、タイの小学校教師や子供たちに教えた体験を原稿にまとめ、このほど新風舎から『タイの国 JICAそろばん先生奮闘記』(128ページ、B6判)を出版した。西野さんは「タイでの指導でそろばんの魅力を改めて見直し、素朴な人たちとの生活を通して忘れていたものを取り戻せた」と、大きな収穫を得た充実感が活字からあふれている。西野さんは引土新町の生まれ。小学校5年生からそろばんを習い始め、すでに高校2年生のころから子供たちを自宅で教え、卒業時には約50人に指導した。19歳で教室を開き、引土や八雲などで教えている。国を挙げてそろばんの普及に取り組むタイで、JICAが指導者の要請を支援するプロジェクトに、シニア海外ボランティアの日本人を派遣していることを知って応募した。40年近い指導のキャリアを持つが、もう一度そろばんの意義を白紙の地で確かめたいとの思いがあった。タイ東北の農村部の小学校を巡回し、教師らに教えた。住み込んだ村の民家を開放し、近くの子供たちにもそろばんを教え、同行した夫の隆昭さん(58)が日本語を指導した。住民たちと一緒に映画や市場に出掛けるなど、すっかり生活にも溶け込んだ。先生への指導は理解してもらえず、練習プリントの回答が回覧されるカンニングがあったりなどしたが、我慢強く接したことで先生たちも前向きに取り組んでくれるようになった。自宅で教える子供たちも大会で上位を独占し、学校の成績が下位だった高校生男子が上達するにつれ学力も向上し、いまでは塾を開いている。食べていくだけで精一杯の貧しい人たちは、いつも「マイ・ペンライ(大丈夫、気にしない)」と笑顔で暮らす。彼らとの生活は戸惑いもあったが、それ以上に懐かしいと思うことも多かった。お年寄りを敬い、互いに助け合い生きる姿から忘れていた心を思い出させてくれた。帰国後は自分の中で何かが変わったと思った。そろばんで集中力などが養われる意義を改めて見直し、生徒たちに信念を持って話しかけている自分がいた。幸福の基準も心の持ち方で左右されると考えるようになった。地元の中学校でタイの講演を繰り返す内、再びタイで指導したいとの思いが膨らんだ。体験を記録にまとめようと、原稿を持ち込んだ新風舎から初版500部を出版。品切れとなったため増刷も決まり、近く書店に並ぶ予定。西野さんは「タイでは幸せな時間を過ごせました。そろばんが貧しい子供たちの自立の手段にもなれば」と話していた。誘いのあるラオスでの指導に夢を広げている。本は1冊1000円(税別)。
【問い合わせ】電話03・3746・4648、新風舎。

写真=「忘れていたものを取り戻せた」と話す西野さんと出版した本